合氣道の Q&A

Q1:合気道はどの道場で稽古しても同じでしょうか?

A1:大きく異なります。合氣道は、会派や道場によって稽古の方法、技の質、理念などが大きく異なり、経験者の目から見ると違う武道かと感じることもしばしばです。はじめに入った道場である程度の期間稽古して身につけたスタイルや考え方を後から変えることは容易ではなく、逆に新しいものを習得する際の大きな障害とさえなりますので、道場を選ぶ際にはよく調べ、見学や体験を経てから十分に検討した上で入門することをおすすめします。

Q2:合気道の稽古ではなぜ袴(はかま)をはくのですか?

A2:稽古は心身を磨く修業、道場はそのための神聖な空間という伝統的な思想に基づいてのことです。「足さばきを隠すため」と説明されることもありますが、他人の足さばきや重心くらい稽古していれば袴の上からでも簡単にわかるようになるので誤った説明です。更に指導者ともなれば手本を示して教えるべき立場ですから、それを「隠す」のはおかしなことです。古武道においては体術でも袴をはく方が普通です。江戸時代以前の武士は、自宅などの特に私的な場以外では常に袴をはいていることが当たり前でした。また普段から袴を履いて稽古していると、足さばきが落ち着いて腰が安定し、技の上達につながる効果が期待できます。袴をはくのは初段以上などと規定している会派もありますが、合氣道真生会では入門の始めから袴をはいて稽古することを基本としています。

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Q3:合気道に座り技があるのはなぜですか?

A3:日本の伝統生活に基づいてのことです。古流柔術、居合(剣術の一種)の諸流派も座技を多く有します。かつての日本人の生活は室内で座っている場面が多くありました。座り技はその状況での護身術として自然に生まれたものです。またそれは狭い室内での稽古法にも発展しました。世界のどの格闘技、武術にもまとまった数の座技を有するものはなく、日本の合氣道と古武術のみが持つ大きな特徴の一つです。

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Q4:合気道に足技(蹴り技(キック)、足払いなど)がないのはなぜですか?

A4:いろいろな理由がありますが、第一に「相手を蹴る」「足で払う」ということが暴力的かつ礼を欠いた行為で和合の精神に反するということ、また技法的に見ても姿勢を安定させ、自由に体さばきを行うために両足をついている方が理に即していること、相手の前で足を上げることが自身にとって危険であることなどが挙げられます。開祖が青年期に修業した武術には蹴り技を持つ流派もあり、柔道も経験しています。沖縄発祥の空手も既に本州で広まりつつありましたが、研究の末に合氣道には足技は不要としました。

Q5:古武術(古武道)と武道の違いはなんですか?

A5:古武術は○○流兵法、剣術、槍術、柔術など江戸時代以前に創始されて継承されてきたもの、武道は古武術を元に明治期以降に創始されたもので、剣道、柔道、合氣道などがあります。古武術が直接の戦闘を想定した技法習得、精神鍛錬を主な目的としたのに対し、武道は近代的道徳、体育を取り入れ、武技の修練を通した心身の修養を主な目的としています。

関連ブログ「武道、武術、格闘技の違い」→https://aikidoshinseikai-kawasakitakatu.cloud-line.com/blog/2021/10/103247/#more

Q6:「座り技」と「寝技」は同様のものですか?

A6:大きく違うものです。「座り技」は上記のように座った状態からの護身術及びそこから発展した稽古法であり、「寝技」は戦いの中でもつれ合った末の格闘術で、技法も大きく異なります。座り技は合氣道の他に古武術の柔術、居合(剣術の一種)などで多く見られますが、柔道や現代の総合格闘技で見られるような寝技を行う古武術流派は多くありません。それはリング上とは違い相手が槍、刀、短刀といった武器を所持し、しかも一人ではなく複数の場合があるとを想定していることが理由に考えられます。合氣道開祖は寝技は用いませんでした。

Q7:合気道に試合が無いのはなぜですか?

A7:最大の理由は、合氣道が勝敗を競う闘争の術ではなく、結びの技を通して心身を修養する和合の武道だからです。他にも、ルールに捉われずに全ての技を正しく継承していくため、といった理由があります。例えば、合氣道の技は徒手技でもその大半が柔道や総合格闘技の試合では「反則」となります。試合で使えない技は稽古されなくなります。さらに合氣道には剣杖を使う武器技、対多数者の技もあります。試合主義になれば数多くの技が稽古されなくなり、忘れ去られてしまうでしょう。

Q8:合気道の「合気」と古武術の「合気」は同じ意味ですか?

A8:違います。よく混同されていますが、合氣道の「合氣」は「愛に通じる」理念として開祖が用いた言葉であり、一部の古武術で技術的理法として用いられる「合氣」とは意味が全く異なります。合氣道の技法につながる理法としては「呼吸力」(なお、「呼吸法」は「呼吸力養成法」の略称です)という言葉がよく使われています。ただしその捉え方は会派や指導者によって大きく違います。

関連ページ「合氣道の呼吸力」→https://aikidoshinseikai-kawasakitakatu.cloud-line.com/kokyuryoku/

Q9:合気道に剣技、杖技があるのはなぜですか?

A9:合氣道開祖は全てを網羅した広範な武道を理想としていました。徒手(素手)の技も、剣、杖の技も全てを総合して「合氣道」なのです。剣術は長きに渡って日本武術の中心的な存在でしたし、杖(じょう)は矛(ほこ)、薙刀(なぎなた)、槍、棒、銃剣など様々な他の長柄武器にも代わるものです。合氣道では徒手の技も武器の技もそれぞれが深くつながり合っており、武器を用いた稽古で初めてわかることがたくさんあります。武道・武術をより深く学び、正しく理解していく上で武器の存在は決して外すことができません。

関連ページ「合氣道の武器と武器技」→https://aikidoshinseikai-kawasakitakatu.cloud-line.com/aikidobuki/

Q10:合気道はどうすれば上達するでしょうか?

A10:大切なのは合氣道の本質を理解し、「心身を自然に即した自由な状態にすること」だと思います。「片手取り四方投げでは腕をこうする」とか「突きの小手返しでは足をこう動かす」とか、あるいは姿勢を決めて特別な力を発揮する練習を何年も続けたところで、それで身に付くのは限定的な状況でしか使えない狭い能力です。むしろ体も頭も固くなって型にはまった不自由な人間になってしまうかもしれません。それは合氣道が目指す理想の武道の在り方とは全く違うものです。初級者のうちは仲間と稽古していくために形(フォーム)を覚えることは大切ですが、本当の上達を目指すためには技術の練習だけではなく、身体を整え、理法を研究し、精神を修養し、全てを一体として向上させていく「修業」の姿勢が大切です。

Q11:合気道の技が難しいと感じるのはなぜでしょう?

A11:それは、合氣道の技が無理な力を使わず、相手を傷つけないように考えられているからだと思われます。腕力に任せて殴り倒す、組み伏せる、というだけでよいのなら形としては簡単になるでしょう。しかしそれは合氣道ではありません。更に言えば「正面打ち入身投げ」「片手取り四方投げ」といった普段稽古している技の多くは、そのまま護身術として使うものというより、「合氣道の理法を心身で習得するための修練の形」と考えるべきでしょう。本来の合氣道の技は、和合の心、相手との結び、自然法則との調和によって千変万化し、無限に生まれる自由なものです。

Q12:なぜ開祖(植芝盛平先生)について学ぶことが大事なのですか?

A12開祖のことを学ばなければ合氣道が理解できないからです。合氣道は開祖が理想の武道を求める中で生まれた武道です。それゆえ開祖の人生経験や思想を学ぶことは合氣道研究の根幹であり、技の行い方や理法の解釈に直結します。例えば、ピカソの作品の意味や画法を本気で研究している方々なら、必ずピカソの生涯や思想について学び、本人の作品を丹念に観察しているでしょう。全くの他人が二次的、三次的に描いた作品だけを見てピカソを理解できるでしょうか?しかし現在の合氣道では労力を惜しんで開祖について学ぶことを省きたがる傾向もあり、そのため指導員クラスでも合氣道についての理解がごく薄い方が少なくありません。

関連ページ「合氣道とは」https://aikidoshinseikai-kawasakitakatu.cloud-line.com/aikido2/

Q13:開祖について学ぶ方法は何がよいでしょう?

A13:やはり伝記などをしっかり読むのがよいと思います。自分が読んだ本の中では、「武の真人 ~合気道開祖植芝盛平伝」(砂泊兼基著:たま出版)、「合気道開祖 植芝盛平伝」(植芝吉祥丸著:出版芸術社)、植芝盛平と合気道Ⅰ、Ⅱ ~開祖を語る直弟子たち」(合気ニュース)などがわかりやすく内容もよくてお勧めだと思います。書籍の中にも著者の個人的主張や偏った思い込みが強いものが多いですし、ネットの情報は全体像が捉え難く、誤った情報も多いので注意が必要です。開祖ご本人による演武映像などはよく見て研究し、「開祖が目指した合氣道が何か」、ということをしっかり考えていくことが本当の合氣道の理解につながると思います。

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合氣道真生会川崎高津道場についての Q&A

Qイ:年齢に上限はありますか?

Aイ:ありません。合氣道は生涯継続すべき修業です。例え高齢の方でも、ゆっくりと慣れていくことで問題なく稽古できます。合氣道では体力では不利な高齢者や女性が、屈強な若者を凌ぐ技の妙味を見せることもしばしばです。同門の道場においては70歳代で入門し、稽古されていた方もおられます。50歳代、60歳代で入門される方は全く珍しくありません。体力面などで不安があるようでしたらお気軽にご相談ください。

Qロ:級位や段位はどのようなシステムになっていますか?

Aロ:級位、段位は、稽古状況、出席日数などをもとに支部長が熊本の本部に昇級、昇段を推薦し、認可されれば、証書が発行されます。中学生以上では、級外から始まり五級、四級、三級・・・、初段、弐(二)段、参(三)段・・・と昇級、昇段します。週一回の稽古の場合、入門から初段までは4年ほどです。帯の色は級外から一級までが白帯、初段以上が黒帯です。

Qハ:週一回、一時間ちょっとの稽古で上達するのでしょうか?

Aハ:もちろん上達します。一回一回の稽古に真摯に取り組み、余裕があれば日ごろから少しでも体操や体捌き、武器の素振りなど一人でもできることを練習し、日常生活の中でも所作や体の使い方に気を付けるようにしていけば、数年のうちに基本がしっかりと身に付いて様々な技ができるようになり、黒帯獲得(初段以上)が可能です。それに稽古以外の研究、日常生活での取り組みも大変重要です。

関連ブログ「一畳のスペースでできる合氣道自主練習」https://aikidoshinseikai-kawasakitakatu.cloud-line.com/blog/2021/03/101471/

Q二:稽古日以外に参加を求められる活動などはありますか?

A二:ありません。年に一、二回ほど稽古後に親睦会(…つまり飲み会)は開催しますが、あくまで自由参加です。熊本などで開催される稽古会は、もちろん参加すれば大きな学びを得られますが、決して強制は致しません。逆に道場の仲間たちと何かイベントを行いたければ喜んでご相談に乗ります。ただし営利目的の活動への勧誘などは控えていただきます。

Qホ:稽古で使う武器(木剣、杖、短剣)を購入、及び持参する必要はありますか?

Aホ:ありません。木剣、杖、短剣は常に必要数を道場に用意してあります。稽古の前後、休憩中の時間にも自由に使っていただき、どんどん操法に慣れていただきたいと思います。もちろん自宅にも所持し、日頃から素振りなどの自主練習に取り組むことは、合氣道上達につながります。

Qへ:特別なトレーニングなどは必要ですか?

Aへ:必要ありません。合氣道は心身ともに自然な状態であることが大切です。特別な筋力トレーニングなどをしてしまうとかえって腕力に頼ってしまい、技の上達を阻害することがあります。また無理なトレーニングは体を固くし、全体のバランスを崩してかえって健康を害したりケガをよくするようになることもあります。私(吉見)自身、実は若い頃は筋トレ大好きっ子でした。しかし、ある時点で合氣道に筋肉は邪魔だと感じて筋トレをやめてから、技能も上達したと思いますし、ケガも激減し、体が軽く動くのが楽になりました。

Qト:他の武道や格闘技と掛け持ちでも問題ありませんか?

Aト:もちろん問題ありません。他会派の合気道と掛け持ちであっても構いません。共に修業していく気持ちのある方ならどなたでも歓迎いたします。私(吉見)自身、居合、少林寺拳法と並行して稽古していた時期があります。他の武道を通して合氣道を研究することも、理解を深めるための一助ともなると思います。

Qチ:翌日が仕事なのですが疲労が残るのではないでしょうか?

Aチ:はじめのうちは、ついつい力が入ってしまい、疲労感が残るかもしれませんが、慣れてリラックスしてくれば、ほとんど疲労感は残らず、むしろ体の凝りがほぐれて爽快に翌日を迎えられるようになります。また仕事やレジャーの後で少し疲れた状態から稽古しても、かえって体が軽くなるようになっていきます。

Qリ:以前に見学(体験)してだいぶ期間が経つのですが、また行ったら迷惑でしょうか?

Aリ:全く問題ありません。またいつでもいらっしゃるのをお待ちしています。二度目、三度目の見学・体験も心から歓迎いたします。何年も前に退会または休会してそれっきりになっている方も、ぜひまたいらしてください。

Qヌ:腰や手足に不自由があっても稽古できますか?

Aヌ:できます。あまり動かず、座ったままの姿勢でも稽古はできますし、受け身はしなくても構いません。他の多くの合氣道では難しいかもしれませんが、合氣道真生会では体が不自由な方でも楽しくやり甲斐を持って稽古できると思いますので、興味があればお気軽に相談してください。

Qル:指導員は指導報酬を得ていますか?

Aル:全く得ていません。川崎高津道場の会費は全て道場運営費(本部納付会費、稽古場使用料、稽古用具購入費など)です。指導員も他の会員と同じように会費を納め、道場への交通費、懇親会で飲食費、稽古着及び稽古用具の購入費その他、個人的な出費は全て自身で賄っています。合氣道真生会は、営利目的ではなく真の合氣道の探求と普及のために活動しています。

Qヲ:先生(師範、指導員)の言うことは絶対でしょうか?

Aヲ:いいえ。合氣道の指導者は、自身の思い込みや経験の範囲内で指導する傾向もあります。川崎高津道場では、疑問に感じたことはどんどん指導員にぶつけていただきたいと思います。指導員はできる限りそれに応えますし、応えらえられなかったことこそ自身の成長の糧とすべく研鑽に生かします。

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~ 当道場や合氣道についてご質問があれば、入門の意志の有無に関わらずお気軽にお問い合わせください ~

合氣道真生会川崎高津道場 吉見新

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