合氣道真生会川崎高津道場 活動報告

2022.09.02

カナダからのお客様part2

2022年8月28日(日)の川崎高津道場の稽古に、カナダ東部のトロントにある合氣道修行道場の道場長であるガブリエル=ディマルコさん(合気会五段)と奥様のあゆみさん(同弐段)がご参加くださいました(※本来は「先生」とお呼びしたいのですが、ご本人方がやめて欲しいとのことなので)。

あゆみさんは今年1月にもご参加いただいていますが、ガブリエルさんは今回が初めてのご参加です。

※前回の様子:「カナダからのお客様」(2022年1月) https://aikidoshinseikai-kawasakitakatu.cloud-line.com/blog/2022/01/104965/

合氣道修行道場(カナダHP→ https://shugyo.com/

以前の報告にも書きましたが、合氣道修行道場は合気会所属ながら先師のご生前から交流があり、真生会設立後も濱田師範長がご指導に赴いたり、先方から複数で熊本に来訪したりと親しい交流が続いるそうです。

しかし、自分はガブリエルさんとはお会いするのも初めてなので、正直なところ、川崎高津道場よりはるかに規模の大きな、それも海外の道場の道場長様がいらっしゃるということで、内心かなりドッキドキな何日間かを過ごしていました。それにしても日本での滞在地が特に近いわけでもないのに、限られた貴重なお時間を費やして道端で人知れずひっそり生きる小さなキノコのような自分たちの道場にいらしていただいて本当に申し訳なく、そしてありがたく思います。

実はこの日は大雨になるかもしれないという天気予報もありましたが、幸いそういったことにはならず、最近の中では割と涼しく過ごしやすいお天気に恵まれました。ガブリエルさんとあゆみさんの日ごろの行いがよいからでしょうか。。

稽古はいつも通り、夕方18時過ぎからはじめ、真生会の基本の流れに沿って礼拝、体さばき、呼吸力、技の稽古と進めました。ガブリエルさんは真生会方式の稽古は数年ぶりとのことですが、体さばきもスラスラと身のこなしも軽く、ほとんど支障のないように見えました。合氣道歴では自分よりずっと先輩ですからね、さすがです。

中盤からはガブリエルさんのご希望もあって、呼吸力を中心とした練習を多めに行いました。もっとも、自分のような軽輩の未熟者がご指導できるようなことは何もないのですが、先師と濱田師範長から聞きかじってきたことを色々な方法で自分なりにお伝えさせていただきました。ガブリエルさんは合気会所属でしかも巨漢ひしめく(自分の勝手なイメージです)海外の道場の先生なので、かなりパワフルなスタイルを想像していましたが、感覚はずっと柔らかく、力を抜くことに熱心に取り組んで来られた真摯な姿勢が感じられました。


稽古はちょっと(?)時間を延長してしまって20時過ぎに終了し、バタバタと片づけて道場から徒歩1分、高津駅前の「居酒屋 はなの舞」での懇親会に移行しました。それぞれの国の文化、道場のこと、先師のこと、濱田師範長のこと、古い同門の方々のこと、日本語と英語をごちゃ混ぜにしながらいろいろなことをお話させていただきました。「いつかカナダの道場にも来て欲しい」というありがたいお言葉もいただきました。本当にそんな機会を作れたら素敵だなーと思います。もちろん、その時は一稽古者として参加させていただきたいです。

ガブリエルさんはずっと物静かな雰囲気でしたが、共に熊本の揚野師範から腕相撲を挑まれた経験があることがわかった時には二人で大笑いしました。なんやかんやでお開きがかなり遅い時刻になってしまいましたが、お陰様でとても楽しい時間を過ごすことができました。時間がゆるされるならもっともっと色々お話を伺いたかったです。。

ただ一つすごく心配なことは、稽古の時も懇親会の時も、無理して使った拙い英語で知らずに失礼なことを言ってしまっていないだろうか、ということです。もしそのようなことがありましたら、平身低頭、心の底からお詫びさせていただきます。やっぱり人間は無理をするものじゃないなー…と後悔先に立たず…。

ともあれ、ガブリエルさんとあゆみさんにはわざわざ高津までお越しいただいて本当に感謝致します。自分にとってはもちろん、道場の仲間たちにとっても得難いよい経験になったことと思います。

ぜひこれからも、親しく交流させていただけたら本当に嬉しく思います。

今後とも何卒宜しくお願い申し上げます!

合氣道真生会川崎高津道場 吉見新

~ 追記 その一 ~

稽古の数日後、調べものをしていて偶然にカナダのトロントから(多分)さほど遠くない場所に「White's falls」という滝があることを知りました。「White(白)」の「falls(滝)」、つまり直訳すると「白滝」です。

白滝といえば、合氣道関係者が真っ先に思い浮かべるのは開祖が明治45年(1912)~大正8年(1919)(開祖30歳代)までの間、開拓に勤しまれた北海道の白滝村(シラタキムラ)ですそれ以前に複数の武術・武道を習得していた開祖は、この時期に大東流柔術に出会い、その後の更なる修業の中で合氣道を生み出していくことになります。開拓のリーダーとしての開祖の活躍は今も同地で語り継がれ、地域ゆかりの偉人として敬愛され続けています。

どちらも冬の寒さの厳しい北の大地にあり、合氣道とカナダ、トロントの意外なつながりを感じた気がしました…(笑)

〈 白滝村(北海道)での開祖 〉

~ 追記 その2 ~

この文章を書いている9月2日は日本では特別な日として扱われていませんが、国際的には「第二次世界大戦が終結した日」とされています。1945年のこの日、東京湾に停泊する戦艦ミズーリ号の上でアメリカなどの連合国代表と日本政府代表による調印式が執り行われ、アジア太平洋戦争、そして第二次世界大戦の終結が正式に確認されました。

以前にも書きましたが、アジア太平洋戦争において英連邦に属するカナダと日本は「敵国」の関係でした。ちょうどつい先日、対英米戦争の始まる少し前の時期に、カナダのバスケットボールチームの選手たちと交流を持った宝塚少女歌劇団の女性たちが日本の社会から厳しい非難を受けたというエピソードを知りました。本来であれば微笑ましい国際交流であったはずなのですが。そんな暗い日々が二度と来ないことを、心の底から願います。

人種も民族も国境も関係なく、いつでもどこでも誰とでも楽しく稽古ができる、開祖が目指した合氣道は、そういう武道ではないかと思います。

~ 追記 その3  ~

9月9日、深夜にテレビを見ていたら英国女王エリザベス二世陛下ご逝去の速報が入りました(英国では9月8日)。

特に幕末の開国以来、様々な面で日本と英国とは深く関わってきました。明治以降、日本の近代化を進める上で政治、経済、工業、学術、教育、社会制度、軍事など多岐にわたる分野で一番の手本としたのが英国です。中でも自分の住む横浜はかつて港町ゆえに多くの英国人が来訪し、英国領事館も置かれ、数々の英国様式の建築物が造られ、様々な面で英国との交流の歴史を強く感じられる地域です。

旧イギリス領事公邸(横浜市)

明治初期に運行した英国製機関車(横浜市)


自分個人としても、学生のころに2回、合計一か月半に渡って英国各地を巡っていて、故郷の横浜、一時期住んだ千葉県市川市に次いで、実は3番目に滞在期間が長いのが英国なのです。無条件に「世界のどこでにでも住んでいい」と言われたら、北東部の湖水地方に住みたいと思っています。「ピーターラビットの故郷」としても知られる美しい丘陵地帯です。

王室の城であるバッキンガム宮殿やウィンザー城、スコットランドのエジンバラ城なども訪れました。葬儀が行われる予定のウェストミンスター寺院の礼拝堂正面ステンドグラスの美しさには心を奪われ、聖歌隊の練習を聴きながら1時間ほども見入ってしまった記憶があります。そして街中の様々なところに「 EⅡR」というエリザベス二世陛下を表すロゴが記されており、英国では王室の存在感が大きいことを感じました。そういった様々な思いが心を巡り、訃報に接して何かフッと気が抜けてしまった感じがしました。近頃の姿を見ていてだいぶ痩せられたなーとは思っていましたが…

そしてメイン記事のガブリエルさん、あゆみさん(合氣道修行道場)の住まうカナダは今も英連邦に属しており、これまではエリザベス二世陛下が君主の座にありました。王室に対する心情は人によってそれぞれ異なりますし、一人一人の命に優劣をつけることはできませんが、自分個人としては、長年に渡り重責を担ってこられた女王陛下には敬意を抱いています。

先の英国女王エリザベス二世陛下のご逝去に慎んで哀悼の意を捧げると共に、陛下を慕う世界中の方々に心よりお悔やみ申し上げます。

後日イギリス館(横浜市)にて

2022年9月10日 吉見 新

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